増量とパフォーマンス
増量は、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコリジョンスポーツ、柔道や相撲のような格闘技系競技の重量級選手、ボディビルディングやフィジーク競技のアスリートにとって、パフォーマンス向上につながる重要な要素です。
ただし、体脂肪量が大幅に増えることはパフォーマンスの低下や健康上の問題を引き起こす可能性があるため、増量を慎重に行う必要があります。
増量のための摂取カロリーと消費カロリー
増量を成功させるためには、摂取カロリーが1日の消費カロリーを上回ることが鍵です。1日の消費カロリーは、基礎代謝を計算することでおおよその値を導き出すことができます。
基礎代謝量の計算式は以下の通りです。
例えば、15歳の男性で体重が50kgの場合、基礎代謝基準値は27となります。(※1)
したがって、基礎代謝量は次のように計算されます
次に、1日の推定消費カロリーを計算します。
あなたが運動選手であると仮定し、身体活動レベルを高く(レベルⅢ)設定します。 その場合、基礎代謝量に1.95を掛けることで、1日の消費カロリーを導き出します。
このようにして、推定エネルギー消費量を計算し、増量の計画を立てる際に必要な基礎データを算出します。
※1 「https://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html日本医師会HP」引用
次に、増量の具体的方法を解説します。
増量のための摂取カロリーとポイント
増量を成功させるためには、自身の推定消費カロリーを計算し、それを基に摂取カロリーを計画することが不可欠です。以下に増量のためのカロリー摂取に関するポイントをまとめます。
1. 体重維持のカロリーより摂取カロリーを多くする
増量を目指す場合、摂取カロリーは自身の基礎代謝カロリーよりも多く摂る必要があります。 基礎代謝を元に推定消費カロリーを計算し、体重維持に必要なカロリーの<span class=”q_underline q_underline1″>10%~15%増</span>程度を目安に設定します。特に筋力トレーニングを行う場合は、500kcal以下の増加に抑えることが推奨されます。

例えば、推定消費カロリーが3,000kcalの人の場合、摂取カロリーの目安は3,300kcal~3,450kcalとなりますよ。
2. 食事回数と栄養バランス
通常の1日3回の食事を<span class=”q_underline q_underline1″>4~6回</span>に増やすことで、摂取カロリーを効果的に増やします。また、食事の栄養バランスも重要であり、<span class=”q_underline q_underline2″>糖質、タンパク質、脂質の適切なバランスを保つことが望ましい</span>です。
摂取カロリーとタンパク質(P)脂質(F)糖質(C)のバランス

糖質は40%~50%、タンパク質は30%、脂質は20%~30%が目安になります。 このバランス比率のことを「PFC比」といいます。
3. タンパク質摂取の増加
筋肥大を目指す場合、タンパク質摂取量を増やすことが重要です。体重1kgあたり、少なくとも1.6g~2.2gのタンパク質を摂ることが推奨されています。

例えば、50kgの男性の場合、1日に80g~110gのタンパク質を摂取する必要があります。過剰摂取は内臓への負担をかけるため、適切な摂取量をとるようにしましょう。
4. タンパク質摂取のタイミング
タンパク質の摂取は、数時間ごとに20~30gずつ摂り、1度に多く摂らないようにすることが望ましいです。摂取のタイミングは、トレーニング後や就寝前に摂取すると効果的です。就寝中もエネルギーが消費されるため、十分なタンパク質の摂取が必要です。就寝前の摂取により、筋肉の分解を防ぎ、筋肉量の維持向上につながります。
5. 専門家のサポート
上記のポイントを実践しても、体重の増加につながらないケースや体調を崩すことがあるかもしれません。適切なタンパク質の摂取量と摂取カロリーのPFC比(糖質、タンパク質、脂質)が合わないことも考えられます。そのため、安全かつ効果的な増量を行うためには、スポーツ栄養士やトレーナーなどの専門家のサポートを受けることや、自身の栄養知識を深めることも重要になります。
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